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台風の語源

もとは颱風(たいふう)と書いたが、1946年(昭和21)に制定された当用漢字にないため台風と改められた。颱風は中国語の颱と英語のtyphoonの音をとったもので、一般に通用するようになったのは大正時代からである。それ以前は大風、嵐(あらし)、また古くは野分(のわき)とかよばれていた。颱は暴風のもっともひどいものをさし、中国における最古の用例は17世紀後半に編集された『福建通志』である。日本でも19世紀初めに小説家の滝沢馬琴(ばきん)が『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』のなかで颱を用い、これを「あかしま」と訓じた。しかし、1857年(安政4)洋学者伊藤慎蔵(しんぞう)が熱帯低気圧についての専門書を訳したが、その題名は『颶風(ぐふう)新話』であり、明治になっても片仮名でタイフーンと書くか、漢字を用いるときには「大風」と書かれることも多いなど、滝沢馬琴の颱の用法は、そのまま、明治後期から使われるようになった颱風にはつながらない。一方英語のtyphoonは、16世紀にはイギリスで使用例があるなど颱の用例より古い。中国では昔、台風のように風向の旋回する風系を颶風とよんだが、この知識が南シナ海を航海していたアラビア人に伝えられ、彼らはそれをぐるぐる回るという意のtfnとよび、これが一方では颱風になり、他方ではタイフーンに転化したと考えられる。



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関連項目かんれんこうもく

参考文献さんこうぶんけん音声映像資料おんせいえいぞうしりょう

  • ■日本気象協会編・刊『続・台風を防ごう』(1969)
  • ■NHK社会部編『台風に備える』(1972・日本放送出版協会)
  • ■日本気象協会編・刊『1940~1970・台風経路図30年集』(1973)
  • ■浅井富雄ほか著『大気科学講座〔2〕 雲や降水を伴う大気』(1981・東京大学出版会)
  • ■山岬正紀著『台風』(1982・東京堂出版)
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